「レンジフードは分解して洗った。フィルターも交換した。それなのに、火を使っていないのにキッチンが油くさい」
こういうご相談をいただくことがあります。多くの場合、原因は目に見えるところではなく、レンジフードの奥に続いているダクトの中にあります。
先日伺った築11年の戸建てのキッチンダクトが、まさにその状態でした。清掃前から清掃後まで、同じ場所を同じ向きで撮影した写真が残っていますので、順番にお見せします。
清掃前:金属の光がまったく見えない

これはキッチンの排気ダクトの内部を、レンジフード側から撮った写真です。アルミの蛇腹(フレキシブルダクト)でできています。
本来この内側は銀色です。写真では一面が茶色〜オレンジ色になっていて、金属の光沢がどこにも見えません。この色はすべて、油とホコリが混ざって固まった層です。築11年、一度も清掃されていませんでした。
蛇腹は内側に細かい溝が連続しています。この溝が、油を含んだ空気を絡め取ってしまう。だからダクトの中は、レンジフードの表面よりもはるかに汚れやすい構造をしています。
なぜ、ここまで汚れるのか
調理で出る油は、目に見える大きな粒だけではありません。加熱によって細かい霧のようになった油分が、湯気と一緒に吸い込まれていきます。
フィルターやレンジフードで捕まえきれなかった分が、ダクトの内壁に付着します。そこにホコリが乗り、また油が乗り、を繰り返す。時間とともに水分が抜け、最後はベタつきを通り越して樹脂のように固い層になります。11年分ともなると、指で押しても動きません。
この層は2つの困りごとを生みます。
- においが残る — 固まった古い油そのものがにおいの発生源になり、換気のたびに部屋側へ戻ってくることがあります
- 排気が弱くなる — ダクトの内径が実質的に細くなり、レンジフードの吸い込みが落ちます。新しいレンジフードに交換しても改善しないのはこのためです
洗浄中:アルカリ性の洗剤で、油を分解する

ブラシでこするだけでは、固まった油の層は落ちません。ここではアルカリ性の洗剤を使います。
油汚れは酸性です。反対の性質であるアルカリを当てると、油が分解されて水に溶ける状態に変わります。中学校の理科でいう中和に近い反応です。力任せにこするのではなく、化学の力で先に緩めてしまうわけです。
写真の白い泡が洗剤です。泡が汚れに触れている時間を十分にとってから、ブラシで削り落としていきます。この順番を守らないと、汚れを引き延ばすだけで終わってしまいます。
清掃後:アルミの地肌が戻る


最初の写真からおよそ50分後です。茶色い層がなくなり、アルミ本来の銀色が奥まで見えるようになりました。
見比べていただくと、同じダクトとは思えないかもしれません。ですが、撮影しているのは同じ場所、同じ向きです。11年かけて積もったものでも、正しい手順を踏めば1時間かからずに落ちます。
ご自宅のダクトを、自分で確認する方法
業者を呼ぶ前に、ご自身で確認できます。特別な道具はいりません。
1. レンジフードの中をのぞく
整流板とフィルターを外すと、奥に排気口が見えます。スマホのライトを当てて、その穴の内側を見てください。銀色ならまだ余裕があります。茶色ならダクトの中も同じ状態と考えて差し支えありません。
2. スマホで奥を撮る
排気口にスマホを近づけて、ライトを点けたまま数枚撮ってみてください。肉眼より奥まで写ります。今回のような写真がご自宅でも撮れます。
3. ティッシュで吸い込みを見る
レンジフードを「強」にして、ティッシュを1枚あてがってみてください。手を離しても張り付いたままなら、吸い込みは保たれています。すぐ落ちるようなら、排気の経路のどこかが詰まっています。
プロに頼む目安
- 築5〜10年で一度も清掃していない — 最初の1回をおすすめする時期です。今回の現場は築11年でした
- レンジフードを掃除してもにおいが取れない — 原因が表面ではなくダクト側にあります
- レンジフードを新しくしたのに吸い込みが変わらない — 本体ではなく経路の問題です
- 排気口の内側が茶色い — 上の確認方法1で茶色が見えた場合
なお、ダクトの内部はご自身での清掃をおすすめしていません。理由は2つあります。蛇腹はアルミが薄く、力を入れると簡単に破れること。破れると排気が壁の内部に漏れてしまい、清掃より大がかりな修理になります。もう1つは、アルカリ性の洗剤は手肌や目に付くと危険で、換気の悪い足場の上で扱う作業だからです。
料金とご相談
キッチンのダクト清掃は、レンジフードの分解洗浄とセットでご依頼いただくことが多いメニューです。詳しい料金は料金ページにまとめています。
「うちのダクトはどうだろう」と思われたら、上の確認方法1で撮った写真を送っていただければ、状態の目安をお伝えします。見積もりだけのご依頼でも構いません。

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