マンションの換気ダクト清掃は管理組合の許可が必要?専有部分と共用部分の境目

マンションの断面図。各住戸の浴室・トイレ・キッチンの換気扇から出たダクトが、それぞれ独立してベランダ側の外壁の排気口へつながっている様子

「マンションの換気ダクトを掃除したいけれど、管理組合の許可がいるのだろうか」。ご依頼の前に、これを気にされる方はとても多いです。インターネット上でも同じ質問が何度も投稿されていますが、はっきりした答えはなかなか見つかりません。

この記事では、国土交通省が公開している「マンション標準管理規約(単棟型)」の条文にあたりながら、どこまでがご自身の判断でできて、どこからが管理組合の話になるのかを整理します。

目次

結論:住戸の中の清掃なら、ふつうは申請は要りません

標準管理規約が理事長への申請と書面による承認を求めているのは、次の行為です。

区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。(第17条第1項)

対象は「修繕」「模様替え」「取付け」「取替え」の4つです。清掃はどれにも当たりません。

国土交通省が同時に公開しているコメント(条文の解説)でも、承認の対象となる工事の例として挙げられているのは、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管の取付け・取替え、間取りの変更です。ここにも清掃は出てきません。

つまり、住戸の中の換気扇とダクトを清掃するだけであれば、そもそも申請の対象になる行為ではない、というのが規約の建て付けです。

ただし、標準管理規約はあくまで国が示す「ひな形」です。実際の管理規約は各マンションで作られていて、内容が違うことがあります。心配な場合は、管理会社か管理人室に一言確認しておくと確実です。

やること申請の要否
住戸内の換気扇・換気ダクトの清掃通常は不要
給気口(レジスター)の交換「取替え」に当たる可能性あり。事前に確認を
換気扇本体の交換同上

どこまでが自分の範囲なのか。専有部分と共用部分の考え方

住戸の中は専有部分

第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。(第7条第3項)

その住戸だけが使う設備で、共用部分の中に入っていない部分は専有部分だ、という定めです。浴室の換気扇、トイレの換気扇、キッチンのレンジフード、そしてそこから壁や天井の中を伸びていくダクトは、ここに当たります。

共用部分とされているもの

一方、共用部分の範囲を定めた別表第2には、「パイプスペース」「メーターボックス」といった建物の部分や、「各種の配線配管(略)等専有部分に属さない『建物の附属物』」が挙げられています。建物全体で使う設備は共用部分だ、ということです。

近年のマンションの換気ダクトは、住戸の中を通って、そのままベランダや外壁の排気口へ抜けていきます。建物全体の共用設備を経由しないため、住戸の中で完結しています。

境目はどこになるのか

おおまかには、住戸の壁・天井の中を通って、ベランダや外壁の排気口に出るまでが住戸側です。

ただし、条文に「換気ダクトはここまで」という明文はありません。給水管や雑排水管については、別表第2に「給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分」「雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管」と括弧書きで境目が書かれていますが、換気ダクトには同じ書き方がないためです。最終的には、そのマンションの規約と竣工図面によります。

マンションの換気ダクトは、住戸ごとに独立しています

近年のマンションでは、浴室・トイレ・キッチンの排気が、住戸内のダクトを通って、ベランダや外壁の排気口からそのまま屋外へ出ていきます。隣の住戸や上下の階とつながっているわけではありません。

つまり、汚れも、風量の落ち込みも、その住戸の中で完結しています。裏を返せば、ご自身の判断で清掃すれば、それで解決できるということです。

ご自宅の排気口は、ベランダや外壁を見れば確認できます。丸いフードや、四角いガラリが付いている場所が、排気の出口です。

管理組合として、まとめて実施することもできます

各住戸の換気ダクトが専有部分であっても、管理組合や大規模修繕会社が取りまとめて、希望された住戸だけ施工するという進め方は、実際によく行われています。住戸ごとに業者を探す手間がなく、日程もまとめられるためです。

とくに多いのが、大規模修繕のオプション工事として、居住者の方に希望を募る形です。全戸一律ではなく、希望された住戸だけが自己負担で申し込む形なので、管理組合としても決議のハードルが低く、住民の方にとっても、修繕のタイミングでまとめて片づくという利点があります。

専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。(第21条第2項)

標準管理規約にも、専有部分の設備を管理組合が一体で管理できる場合の定めが置かれています。国土交通省のコメントは、この対象となる設備として「配管、配線等がある」としています。

賃貸マンションにお住まいの場合

部屋の所有者は貸主です。換気ダクトの清掃は、造作の変更でも原状回復でもなく、設備の維持管理にあたります。とはいえ、費用をどちらが負担するかという話になりますので、管理会社か貸主に先に一報を入れておくと行き違いがありません。

「自分の費用負担で、部屋の換気扇とダクトを清掃したい」と具体的に伝えるのが、いちばん話が早い伝え方です。

当日までに確認しておくとスムーズなこと

  • 管理人室・管理会社への一報:申請の義務はなくても、共用廊下やエレベーターを使って機材を運びます。事後に「聞いていない」となるのを防げます。
  • 作業できる時間帯:使用細則で工事や作業の時間帯が決められているマンションがあります。
  • エレベーターの養生:管理会社が養生マットを用意している場合があります。
  • 駐車スペース:来客用駐車場の事前予約が必要なマンションがあります。

そもそも、マンションで換気ダクトの清掃が必要な理由

2003年(平成15年)7月1日、シックハウス対策として改正建築基準法が施行され、住宅の居室には原則として機械換気設備を設けることが義務づけられました(建築基準法第28条の2、同施行令第20条の8)。住宅等の居室に求められる換気回数は毎時0.5回。おおよそ2時間で部屋の空気がひととおり入れ替わる計算です。

これ以降に建てられたマンションは、「24時間換気が動いていること」を前提に設計されています。加えて、マンションは戸建てよりも気密性が高い建物です。換気が弱まると、湿気やにおいの逃げ場がなくなります。

ダクトの内側にホコリが層になって付くと、風の通り道が細くなり、風量が落ちます。次のような変化が、その合図です。

  • 浴室:乾燥に時間がかかるようになった、カビが出るのが早くなった
  • トイレ:換気扇を回してもにおいが抜けない
  • キッチン:調理のにおいが部屋に残る、レンジフードを掃除しても油くさい
  • 共通:換気扇から「ゴー」「カラカラ」という音がする

フィルターや目に見える部分を掃除しても変わらないときは、原因がその奥のダクトにあることが少なくありません。

よくある質問

管理組合に言わずに清掃して、あとで問題になりませんか

住戸の中の清掃は、標準管理規約が承認を求めている「修繕・模様替え・取付け・取替え」のいずれにも当たりません。ただし、機材の搬入で共用部分を通ることにはなりますので、管理人室か管理会社に一言入れておくのが無難です。

何年に一度やればいいですか

法律や規約で周期が決まっているものではありません。汚れ方は、調理の頻度、喫煙の有無、ペット、洗濯物の室内干しなどで大きく変わります。年数よりも、「浴室乾燥にかかる時間が前より延びた」「換気扇を回してもにおいが残る」「音が変わった」といった変化のほうが、実際の判断材料になります。

隣や上下の部屋とダクトはつながっていますか

近年のマンションは、各住戸からベランダや外壁へ直接排気する方式がほとんどです。その場合、隣や上下の住戸とダクトがつながっていることはありません。ご自宅の換気の不調は、ご自宅の中を清掃することで解決できます。

管理組合として、建物全体でまとめて頼めますか

できます。標準管理規約第21条第2項は、専有部分の設備であっても共用部分と構造上一体となった部分は、管理組合が一体で管理できると定めています。大規模修繕のオプション工事として、希望された住戸だけ実施する形が実務では一般的です。

分譲マンションを人に貸しています。借主から清掃の相談を受けました

設備の維持管理にあたりますので、オーナーとしてご判断いただける範囲です。換気設備は住戸の資産価値と直結する部分ですので、退去時の原状回復とは切り離して、定期的な維持として考えていただくとよいかと思います。

メイクリアのマンション対応について

メイクリア(Maclear合同会社)は、換気ダクトの清掃を専門にしています。分譲・賃貸を問わず、マンションの浴室・トイレ・洗面所の換気扇と換気ダクト、キッチンのレンジフードを、本体を分解して内部まで洗浄します。

共用廊下・エレベーター・玄関まわりは作業前に養生し、出た汚れや廃材はすべて持ち帰ります。管理組合様・大規模修繕会社様からの、1棟まるごとのご相談もお受けしております。

対応している市区町村は対応エリアのページでご確認いただけます。

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参考にした公的な情報

※本記事は国土交通省が公開する標準管理規約に基づく一般的な解説です。実際の取扱いは各マンションの管理規約によりますので、最終的な判断は管理組合・管理会社にご確認ください。

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